オイルフィニッシュ
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Do you *Woody@blues or not ???
アコースティックギターパーツネット
オイルフィニッシュとはラッカーやシェラックと異なり、表面に塗膜を作らず
木材にオイルが浸透し、その後オイルが堅くなるというシンプルな塗装法
です。ギターにとってこの塗装法は一般に広く知られている方法ではない
かもしれませんが、今回の試し塗り体験で特性がわかってきました。
一部分かとは思いますが、この塗装法の紹介も兼ねてまとめておきたい
と思います。
画像があまり鮮明でなく恐縮ですが、オイルフィニッシュのサンプルをまとめ
ました。各種オイルで比較してみました。白木系スプルース、シダーの
表板には「黄変」の具合がどの程度かで雰囲気がかなり変わります。
白木系の木材に塗る場合は注意が必要です。さらに考慮すべきことは油の
浸透具合で音がどう影響するか、艶の出方に違いがないかです。油の種類に
ついては性質の違いが若干あり、「黄変」「乾燥」の2点が選択のポイントと
思われます。艶については、膜が形成されない分、塗膜系のシェラックや
ラッカー、カシューに劣ることは否めません。鏡面の様な艶を求める方は塗膜
の出来ないオイルフィニッシュより、塗膜の出来る各種塗装法が適していると
思われます。
【ギターでの試し塗り】
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@マホガニー ・方法 ハケ塗り
・塗料 表板 (タンポによるシェラック)
その他 ワトコオイル、煮亜麻仁油、荏油
・塗布回数 表板 (5回)
その他 18回
・乾燥 各塗布後1日
最終塗布後、仕上げまで2週間
黒の顔料を含んだワトコオイルで6回、煮亜麻仁油で6回、荏油で2回塗布
(オープンポア)オイルをベタベタに塗り過ぎると、木材の内部にオイルが
染み込んで、ギター内部にオイルの「しみ」がつきますので、塗る量は
ほどほどにしておきます。塗布量を抑えるためにはハケ塗りより布をまるめ
たもの等で塗った方が良いかもしれません。音についてはオイルが浸透し過ぎ
たため、シャープさが低下しています。塗布してから数ヶ月以上経ちますが、
音の改善はありません。乾燥が十分なされていないのが原因と思われます。
外観上の仕上りは特に問題がありませんが、音の不満が残ります。今回は
ハケ塗りで比較的多量の油を塗布したのが良くなかったのだと思われます。
少量を塗ったらすぐに拭き取り、出来る限り浸透させないことがギター等の
楽器には重要であると思われます。
乾燥については、その後半年くらい経過して表面がさらさらして乾燥が
進んできました。音もモコモコからシャキッとしたクリアーさが回復して
きました。このギターはかなりベタベタ塗って、乾燥時期に梅雨が入って
いました。状況的には遅くとも半年で乾燥すると考えて良いようです。
音は低音が深く出ています。オイルフィニッシュでは低音が強調される
と考えて良さそうです。
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Aマホガニー ・方法 布による塗布
・塗料 表板 荏油、チークオイル
その他 煮亜麻仁油、荏油
・塗布回数 表板 25回
その他 25回
・乾燥 各塗布後1日
最終塗布後、仕上げまで2週間
着色なし。 荏油8回、煮亜麻仁油17回塗布 (セミオープンポア)
当初のオールラッカー仕上げをオイルで再塗装しました。音の抜けが
向上しました。塗りの途中で導管を埋めるサンディングを3回実施
しました。完全に埋めたわけではありませんが、その結果、表面に
油脂膜がうっすら付いた感じに仕上がりました・・・
正直言って、ちょっとテカテカ感が出てしまい、好みが分かれるところ
です。オイルフィニッシュの風合いを最大限に出すためには、目止めは
完全にはしない方が良いかもしれません。音については、このギターは
以前オールラッカー塗装をしていましたので、音の違いがよくわかります。
全体的に音のシャープさが向上しクリアーなサウンドになりました。又、
低音がかなり出るようになり、今回の再塗装は音に好影響を与えたと
思われます。但し、低音の向上は塗装だけでなく、前の塗装を剥ぐために
サンディングを全体に行った関係で、板の厚みも変化したと思われます。
一般的には厚みが減ると低音が向上しますので、このことも関係して
いるとは思います。ギター2本での試し塗りでどちらも低音が強調された
ので、これはオイルフィニッシュの音響的特性と思われます。
<端材による試し塗り>
■シトカスプルース材(針葉樹、導管処理不要)
(生地調整 #100, #120, #150, #180, #240, #280)
@カシュー (ネオクリアー) 1回塗り
たった1回の塗りでも滑らかな仕上がりです。
色はナチュラルで黄変が少ない。木目が少しぼけますが
ほとんど問題なしと思われます。オイルフィニッシュの下塗り
として使用すると黄変が避けられます。
A亜麻仁油 21回塗り
黄変あり。10回塗ったくらいから深みが増しました。
白木系に塗ると焼けが激しく、黄色が強くなりますので
注意が必要です。安易に手に入りますので、入門用の
油としてはお薦めです。
B煮亜麻仁油 21回塗り
黄変あり。10回塗ったくらいから深みが増しました。
亜麻仁油より乾燥が速いとされていますが、大差ない
ように感じました。
C荏油 17回塗り
黄変あり。10回塗ったくらいから深みが増しました。
艶は比較的抑えられています。渋めの仕上りには
適していると思います。エボニー系の黒い材には
きめ細かい雰囲気になり相性が良いです。
D桐油 8回塗り
塗り回数が他と比べて少ないですが、黄変は少ないです。
仕上りは荏油と似ています。初期乾燥が早く、塗って拭き
取った直後にさらさらした感触になります。表面で早く乾燥
するオイルで、楽器用として適していると思われます。
艶はあまり出ません。
Eチークオイル 20回塗り
黄変は少ない。10回塗ったくらいから深みが増しました。
木目が少しぼけますが他と大差はありません。艶は比較的
出ますので、艶やかな仕上りが好みの方にお薦めです。
■マホガニー材(広葉樹 オープンポアの導管未処理)
(生地調整 #100, #120, #150, #180, #240, #280)
@亜麻仁油 20回塗り
A煮亜麻仁油 21回塗り
B荏油 19回塗り
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C桐油 6回塗り
Dチークオイル 22回塗り
これからが本題ですが・・・・
■「楽器塗装法」としてオイルフィニッシュを
どのようにとらえるか
私見をここに挙げてみますと・・・
一般の木材製品へのオイルフィニッシュは可能な限りオイルを浸透させるのが良いと
されています。楽器の場合には音に悪影響のない塗装をする必要があります。
楽器へのオイルフィニッシュはオイルの浸透度合いを極力抑えることが重要となります。
一般の木材製品であれば、浸透を促進させることでより強固な塗装になる、という
見解が一般的です。楽器の場合はオイルの過度な浸透により乾燥が遅れ、音の
透明感、明瞭度が低下します。可能な限り乾燥時間が短いオイルを選択し、少量を
塗ったらすぐに拭き取り、オイルの浸透を表面で抑えることがポイントと言えます。
@表面に塗膜が出来ないので、塗膜のできるラッカーやシェラックなどと
比較すると当然はがれるものがありません。塗膜を作る塗装の場合は、
塗膜の厚さや仕上がり具合、さらに打痕や経年変化等によっては、はがれ
やクラックが生ずる場合があります。
A塗膜がない分、木材の風合いがストレートに出ます。ナチュラルで
トラディショナルな風合いを好む人には向いた塗装法と言えます。
又、オイルが浸透する関係上、木材の深みが出て塗膜の出来る
塗装にはない自然な仕上がりになります。
B塗布回数は平均で10回くらいから深みと艶が増します。オイルフィニッシュ
の特性を最大限に出す為には、最低10回は重ね塗りをするのが望ましい
と思われます。但し、木材の風合いそのものを重視したい場合は、塗る回数
を減らした方がより自然な仕上がりになります。
C塗膜がない分「音」の振動が良好になります。(ラッカー仕上げのギター
を再塗装してオイル仕上げをしたところ、音の抜けが向上しました)
塗膜が出来るということは、音が多少なりとも制限されるとも言えますが
オイルフィニッシュでは制限が減少しますので、音質面では向上が期待
されます。
D植物性天然油を使用しているので、シェラックと同様に楽器や
人体に悪影響はほとんどありません。毒性もほとんどないので、
安全・安心な塗装法と言えます。
E塗りの技術はラッカーやシェラック等と比較すると簡単です。但し木材
へのオイルの浸透を最少限に抑えるため、塗布後はす早くふき取る
必要があります。ベタベタに塗ったまま放置すると、必要以上にオイルが
木材に浸透し、オイルが完全に乾くまでにかなりの時間を要し、音にも
悪影響が出ます。
F塗り重ねが基本で、仕上がり具合をゆっくりと経過・観察できます。
シェラックによるタンポ塗りと同様、一回一回塗る毎に少しづづ仕上がり
が変わってゆきます。1日に朝と晩の2回塗るのを基本にしている製作家も
いらっしゃいます。
Gラッカーのような危険物対策が不要で安全・安心。特殊な設備も不要です。
一部シンナーを使う場合もありますが、ラッカーの場合の吹き付けよりは
僅かな影響で済みます。スプレーガンによる吹き付けは部屋中がラッカー
の臭いで充満します。
Hマホガニー、ウオールナット、コア、ローズウッドなどの色の濃い又は赤系の
広葉樹には木目が強調され外観に高級感が出ます。オイルの性質により、
広葉樹に塗装した場合は木目が深まり強調される傾向があります。この
特徴はラッカーやシェラックよりも顕著と思われます。
Iスプルースなどの針葉樹・白木系の場合は「黄変」があり、色合いの好みが
分かれます。木目の「白さ」を重視したい方は、白木系の木材にオイルを
使用するのは不適かもしれません。スプルース等にオイルを塗ると黄色が
目立ってきて多少油っぽい感じになります。トラディショナルな風合いを好む
人には良いかもしれません。
J塗膜がない分、「外部の保護」という点からはラッカーやシェラックよりも弱く
なります。「保護」を重視したい場合はオイルフィニッニュよりラッカーや
シェラックを使った方が良いかもしれません。但し、塗膜のある塗装でもキズ
が塗面に付くことは避けられません。塗膜にキズが付くか、木材にキズが
付くかの違いをどう考えるかということになります。結局はどちらであっても
キズ等が付くことには変わりないと考えれば、大きな欠点とは言えないかも
しれません。
Kオイルが深く木材に浸透し過ぎると乾燥が困難になる場合があり、音質にも
影響するので注意が必要です。塗ったままべとべと状態での放置は絶対に
避け、す早くふき取ります。浸透し過ぎたオイルの乾燥はとても遅く、完全に
乾くまでは、サウンドはシャープさ、クリアーさを失います。モコモコして
曇った音になりますので注意が必要です。
L広葉樹で導管がある場合、目止めをするかしないかは好みの問題となります。
目止めをすると表面に油脂膜が付いたような仕上がりになり、油特有の
テカテカ感が強調されてきます。目止めをしなければ、オイルフィニッシュ本来の
木材内部に向かって深みが増し、テカテカ感は抑えられます。どちらも
それなりの趣きがありますので、一度試されるのが良いと思います。
M生地調整は妥協を許さずにきっちりやることが重要です。塗膜がないので
その分表面のごまかしが利きません。ギターを組み立てる前にそれぞれの板を
スクレーパーで研磨し、組み立ててからは100番くらいから番手を1つづつ上げて
280番までじっくりとサンディングし、さらに無水アルコール等で表面を滑らかに
します。塗装中も必要に応じてサンディング、けばを抑えるためにスチールウール
等で軽くサンディングします。
N音についてはオイルが浸透し過ぎるとシャープさが欠け、曇ったサウンドに
なります。オイルは少量づつ使用し、塗ったらすぐに拭き取ることが重要です。
楽器としてのオイルフィニッシュはオイルの浸透を最小限に止めることが最大の
ポイントと言えます。乾燥後は特に低音が強調され深い低音が出るようになり
ます。これはこの塗装の音響的特長と言えます。
■楽器用に適するベースオイルは「桐油」?!
オイルフィニッシュ全般に使用される代表的な「乾性油」には
亜麻仁油
煮亜麻仁油
荏油
桐油
等がありますが、楽器用として重要なポイントは
「塗布後、早く乾燥するかどうか」という点です。
油によっては、塗布したすぐに乾燥が進むものがあります。これが「桐油」です。
他の油と比較すると塗った直後もあまりベタベタせず、表面は早く乾燥して
くれます。最終的な乾燥時間は他の油と変わらないかもしれませんが、初期
乾燥(勝手にそう呼んでしまいました)が比較的早いオイルではないかと
思います。これはギター用として最適です。塗った直後もベタベタしていると
その間に油が木に浸透してゆくことになります。深く浸透した油は完全に乾燥
するのに半年掛かる場合もあるようです。その間ギターのサウンドはシャープ
さに欠け、モコモコした感じになります。ギターにとっては油が浸透せず、表面
で可能な限り早く乾いてくれた方が良いのです。この点から、塗った直後から
乾く「桐油」がお薦めということになります。他にも「脱水ひまし油」「チークオイル」
「ワトコオイル」を試してみましたが、今のところ「桐油」が塗布の直後から
サラサラした感じになります。あるアメリカのプロ製作家も浸透具合のコントロール
がし易い、という点で推奨しています。現状では、楽器用として主に使用する
オイルは「桐油」が良さそうです。
〜 special thanks to Hisashi Maekawa 〜
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